天敵線虫

 自然界には線虫という小さな生き物がいます。
 土の中に住んでいる線虫には植物に寄生して養分を吸収するもの、動物に寄生して養分を吸収するもの、カビや細菌を食べて生活するもの等様々な種類がいますが、これらのうち特定の昆虫だけに感染し殺してしまうものを天敵線虫(昆虫病原性線虫、スタイナーネマ)とよびます。

 スタイナーネマの感染態3期幼虫は、土壌中で宿主昆虫に遭遇するとその開口部(口、肛門、気門)より体内に侵入し、中腸を経て血体腔に侵入します。ここで共生細菌を放出し、体液中における細菌の増殖により昆虫は敗血症を起こし死亡します。通常、防除効果が現れてくるには散布後、2〜4週間かかります。

 線虫は、増殖した共生細菌により分解された宿主の組織や細菌自身を摂食し、4期幼虫、第1世代成虫へと成長し、交尾後産卵します。さらに第2〜3世代目を経て、あらたな感染態3期幼虫として昆虫体内に蔓延します。増殖した感染態3期幼虫は昆虫体外に脱出し、次の宿主を求めて分散していきます。

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